2024年1月22日月曜日

秋の夜の心配は、遥かに遠い異国の地にゆく、かもしれないコト

■ 2024-01-23



■ 何か気になる。
■ 和歌は、どのような状況のときに詠まれたのか。
■ 時、所、背景がある。
■ 通称、大弐三位、は賢子といい、紫式部の娘だが、親仁親王が後冷泉帝として即位したとき、典待に任ぜられ、従三位に叙せられた。2度目の結婚相手は、高階成章で、彼は太宰大弐になった。その後、賢子は大弐三位と呼ばれるようになった。
■ 夫の任地に同行し、筑紫に二度行っている。
■ 「令和」の文字が採られた、万葉集・巻第五にある、天平二年正月十三日、・・・
  • 時に、初春の令月にして、気淑く風和らぐ。
■ この宴会には三十人以上が集まっている。
■ 天平五年の山上憶良の歌には、遣唐使に献る歌などがある。
■ 大宰府は、いわば、西の都で、貿易上、防衛上、重要なところであった。
■ そして「もろこし」が案外身近に感じられる地であった。
■ 大弐三位の歌に、・・・

  後のたび、筑紫にまかりしに、門司の関の波の荒ふたてば
往きとても おもなれにける 船路に 関の白波 こころしてこせ

■ とあり、船で行ったことが分かる。
■ 母・紫式部は、・・・

  筑紫へ行く人のむすめの
西の海を 思いやりつつ 月みれば ただに泣かるる 頃にもあるかな

  筑紫に肥前といふところより、文をこせたるを、いちはるかなるところに見けり。その返ごとに
あひ見むと 思ふ 心は 松浦なる 鏡の神や 空に見るらむ

■ などと詠んでいる。
■ さて、・・・

遥かなるもろこしまでもゆくものは
秋の寝ざめの心なりけり  大弐三位

■ この、秋の寝ざめ、は丸谷才一のいうような心境を詠んだものだろうか。
■ おそらく違うだろう。
■ ひょっとして、夫が「もろこし」まで行くことになったら、どうしよう、といった現実としての心配ごとではないだろうか。
■ サラリーマンの妻が夫の転勤のことを聞いて思い煩うことに似ている。

秋の寝ざめの心、は
遥かなる もろこしまでもゆく、コトだ

■ ・・・、まあ、そんな感じだ。

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