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2025年3月12日水曜日

式子内親王の恋の歌、と、藤原定家

■ 2025-03-12
■ 以前もどこかに書いたような気がするが、もういちど書いておこう。
■ 百人一首に採られた式子内親王の歌に応え、定家も歌を詠んでいる。

玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ることの弱りもぞする  式子内親王
君が代にあはずは何を玉の緒の長くとまでは惜しまれじ身を  定家朝臣

■ この二つを並べて何か論じられているのを見たことはないが、関係はあったと思う。
■ いわゆるプラトニック・ラブかどうかは知らない。
■ そして、・・・

橘のにほふあたりのうたたねは夢もむかしのそでの香ぞする  皇太后宮大夫俊成女
かへり来ぬ昔を今とおもひ寝の夢の枕に匂うふたちばな    式子内親王

■ どちらもうまいが式子内親王の方が具体的のように思われる。
■ さらに、玉の緒、の歌に続いて、・・・

忘れてはうち嘆かるるゆうべかなわれのみ知りて過ぐる月日を  式子内親王
わが恋は知る人もなしせく床のなみだもらすな黄楊の小まくら  式子内親王

■ 式子内親王は、立場上自分の恋をあからさまに語ることはできなかった。
■ 彼女の恋を知っているのは、つげでできた枕のみで、人には告げるなと詠っている。
■ 相手は、定家であろうと推測する。
■ 定家は、新古今和歌集の編者の一人だった。
■ 当然、式子内親王の歌も熟知していた。
■ だから、彼は、彼女が心待ちにしている心情を次のように詠った。

来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ  権中納言定家

■ 藤原定家が百人一首を作った最大の理由はこの歌を作り披露することだった。

2024年12月28日土曜日

玉の緒

■ 2024-12-27
■ 塚本邦雄・新撰・小倉百人一首に、和泉式部の歌があった。
■ 百人一首・式子内親王の歌と並べ置いてみよう。
  1. 逢ふことを息の緒にする身にしあれば絶ゆるもいかが悲しと思はぬ  和泉式部
  2. ・・・
  3. 絶え果てば絶え果てぬべし玉の緒に君ならむとは思ひかけきや  和泉式部
  4. たまの緒よ絶えねば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする  式子内親王
■ 状況は違うけれど、式子内親王は和泉式部の歌を知っていたと思われる。
■ 和泉式部に言い寄ったのは誰か。
■ その男の歌に、・・・
絶え果てぬ
玉の緒
■ こんな言葉があったと思われる。 

2024年11月3日日曜日

定家の「ほのめかし」・式子内親王との関係 2024-11-03 追記、コマドリを振り返る



■ 藤原定家選 小倉百人一首

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする   式子内親王
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ      權中納言定家

■ 塚本邦雄選 新小倉百人一首

かへりこぬ昔を今とおもひ寢の夢の枕に匂ふたちばな         式子内親王
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮          權中納言定家

■ 橋本遊水選

かへりこぬ昔を今とおもひ寢の夢の枕に匂ふたちばな
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ

■ 昔、定家の「来ぬ人を・・・」の歌を読んだとき、傲慢な感じがした。
■ 仮に、式子内親王が相手だとして、この歌で、あなたの気持ちを詠みました、と言えるだろうか。
■ おそらく彼女が死んだ後だから作ることができた。
■ 組み合わせを考えれば、塚本邦雄選ではありえない。なんの面白みもない。
■ 実際の関係性を今更言ったところで始まらないが、・・・
■ 定家の意図を考えると、・・・
■ 多くの人が、「玉の緒・・・」の歌を、誤解しているようなので、
  • 定家の「ほのめかし」の効果が出なくなった
■ 橋本遊水選のようにすると、事実としての関係性はどうであろうと、明確に関係性を「ほのめかす」ことができたように思う。
■ 万葉集を素材にした形で、現実の、いわば高貴な方との関係性を「ほのめかす」ことで定家としては最高の歌にすることができたはずであった。
■ 塚本邦雄のように、小倉百人一首は幾つかを除き凡作ばかりだから、として定家の「こぬひとを・・・」の歌も、他の歌に替えてしまったのでは、百人一首、あるいは、百人秀歌というまとまった選集というか、作品の意味がなくなるように思う。
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■ 2024-11-02
■ 蛇足ながら、新古今和歌集の、・・・

1034 式子内親王  玉の緒よ・・・ 
1757 定家・・・  君が代にあはずば何を玉の緒の長くとまでは惜しまれじ身を

■ この二つの歌の意味をよく考えるといい。
■ 離れて置かれているので気づかない人もいるかもしれない。
■ 「玉の緒」は二人に関係している。
■ これは、以前にもどこかに書いた。
■ しかし、誰かが、玉は命だ、といったものだから、おかしくなってしまった。
■ もともと、定家の意図を十分くみ取っていれば、藤原定家選でよかった。
■ ・・・
■ コマドリは

秋より春に撮っている方が多いのは、
秋は地元で探鳥する方が多かったのかもしれない。
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どうなのか


2024年10月19日土曜日

帰り来ぬ昔を今と想い寝の夢の枕に匂う橘


式子内親王 - Wikipedia 1149~1201 51歳で死去


■ 2024-10-19
■ 塚本邦雄が選んだ、式子内親王の歌は私も取り上げていたので、仲間がいたという、感じがした。
■ 試みに、google翻訳すると、・・・


■ なるほど、これなら英語圏の人にも通じるかもしれない。
■ 今から約850年前の女性の恋の歌の心は今でもよく分かるのではないだろうか。
  • 帰りこぬ昔を今とおもひ寝の夢の枕ににほふ橘   式子内親王
■ 今に、ではなく、今と、だったが、意味的には同じことだ。


2024年10月18日金曜日

塚本邦雄、と、式子内親王の歌


■ 2024-10-18
■ 塚本邦雄の新小倉百人一首を見ると、時実新子・恋歌ノートの解題にあげた歌とは違っていた。
■ 改定したようだ。
  1. 定家選  玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする     式子内親王
  2. 塚本選1 恋ひ恋ひてよし見よ世にもあるべしと言ひしもあらず君を聞くらむ
  3. 塚本選2 かへりこぬ昔を今とおもひ寢の夢の枕に匂ふたちばな
■ なるほど、なるほど、・・・
■ 私は、先に次のように書いた。

  • 099
  • あのひとと ともにつかいし このまくら かおをうずめて おもいねるかな  遊水

かへりこぬ むかしをいまと おもひねの 
ゆめのまくらに にほふたちばな // 式子親王内

  • 100
  • もしおやき こころこがして こぬひとを まつほのうらの ゆうなぎろかも  遊水
 
こぬひとを まつほのうらの ゆうなぎに
やくやもしおの みもこがれつつ // 藤原定家

■ 定家選の「玉の緒よ」の歌もよくないとは思わないが「命を懸けた恋」的に解釈されると、拒否したくなる。
■ 「かえりこぬ」の歌の方が素直に心を表現していると思う。
■ また、塚本は、後鳥羽院、順徳院の歌も、そして定家の歌も入れ替えている。
■ これについては頁を新たにしよう。
■ 一人一首という制約がどれを選ぶかと、よく読み理解することにつながる。
■ 例えば、この例では、
  • 塚本選1 恋ひ恋ひてよし見よ世にもあるべしと言ひしもあらず君を聞くらむ
■ 世にもあるべし、とは理屈っぽい。


2024年10月4日金曜日

しのびあう恋を つつむ夜霧よ。追記 2024-10-04 絶えるとも 心と心 つなぐ糸 恋する心 絶えることなく  遊水


■ これには英語の字幕が付いていた。
Night fog that envelops our love as we meet, do you know?
Please keep our relationship hidden until the day we meet again.
Night fog, night fog.
We always say softly, night fog.
Thank you tonight, night fog.
・・・
■ 最後まで聞いてみると、なかなかうまい、と感じた。

■ 2024-10-03
■ 先日、・・
私の恋をあの人に秘めておく心が弱って、
抑えきれず思いが外に現れてしまうかもしれないから。

■ こんな解釈をしている、コトを書いた。
■ 恋愛、というのは、自分の心を相手に分かってもらいたいと思うのが普通だ、と思う。
■ こっちを向いてほしい、ということではないのかな。
■ だけど、他人には知られたくない。

私の恋を
あの人に秘めておく

■ これって何なの、・・・
■ 相手に伝わらなければ、恋とは言えない。
■ 片思い、なんてのは相手に伝わらない状態だ。
■ この人、恋愛をしたことがないのかもしれない気がした。
■ 人が論証したことを根拠に、歌を解釈してどうするのかな。
■ 自分の歌として詠んでみたらいいように思う。
■ 石原裕次郎は歌っている。↑

しのびあう恋を つつむ夜霧よ
・・・
晴れて会えるその日まで

■ 歌謡曲の歌詞の方が、よっぽど人の心をつかんでいる。
■ 式子内親王は立場上、晴れてあえる日がないのだから、「絶えね」と詠うしかなかった。



■ 2024-10-04 追記
■ 白洲正子・私の百人一首・新潮選書には、・・・
  • こういう歌を前にして、私は説明の言葉もない。ただくり返しよむことを願うだけである。
■ ・・・と。
■ 著述に当たって何冊か関連図書は読んだことだろう。
■ 各説に必ずしも納得しなかったのかもしれない。
■ 私としては、人と議論するつもりはないが、・・・
■ 玉の緒は、自分と相手の「心と心をつなぐ糸」と読み取った方がよいように思う。
■ 浮き名を流すことを避けるためには、現実的な関係は絶えても構わない。
■ 互いの思いは変わらないのだから。

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絶えるとも 心と心 つなぐ糸 恋する心 絶えることなく  遊水


■ 試しに、夜霧よ今夜もありがとうを google 翻訳してみた。


■ ついでに、・・・