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時実新子「恋歌ノート」・角川文庫そんなわけで、百人一首は私の愛唱歌だが、中でも"愛のうた恋のうた”に愛着がある。これは私が川柳を作る者として生きてきたことと深く関わりあっているように思う。なぜなら川柳は人間の思いを吐く文藝だからである。
■ 時実新子「恋歌ノート」外題、を塚本邦雄が書いている。
■ そして、そこに、彼が選んだ後半の歌が、記載されている。
■ 新撰小倉百人一首(塚本邦雄)と定家の小倉・百人一首を比較しやすく並べ置いてみよう。
■ 何を秀歌であるかは人により違う。
■ しかし、その感性を知ることはよいことだとは思う。
■ 定家は、必ずしも作者にとっての秀歌を選んだとは思えない。
■ 定家の歌を最高位としておくための一首ととらえた方がいいように思う。
徳大寺実定 - Wikipedia 藤原実定
藤原良経 - Wikipedia 九条良経 - Wikipedia 藤原良経 百人一首の和歌と代表作 (tankanokoto.com) 後京極摂政前太政大臣(91番)
■ とりあえず
01 朝倉や木の丸殿にわがをればなのりをしつつ行くはたが子ぞ 天智天皇
03 もののふの八十氏河の網代木にいさよふ波の行く方へ知らずも 柿本人麿
04 春の野に菫採つみにと來しわれぞ野をなつかしみ一夜ねにける 山邊赤人
05 あひ見ねば戀こそまされ水無瀬川何に深めて思ひそめけむ 猿丸大夫
06 うらうらに照れる春日に雲雀あがりこころ悲しも獨し念へば 中納言家持
07 あまのはらふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも 安倍仲麿
08 樹の間より見ゆるは谷の螢かもいさりにあまの海へゆくかも 喜撰法師
09 はかなしやわが身のはてよ淺綠野邊にたなびく霞と思へば 小野小町
10 世の中はとてもかくても同じこと宮も藁屋もはてしなければ 蝉丸
11 數ならばかからましやは世の中にいと悲しきはしづのをだまき 參議篁
12 末の露もとのしづくや世の中のおくれさきだつためしなるらむ 僧正遍昭
13 筑波嶺のみねより落つるみなの川戀ぞつもりて淵となりける 陽成院
14 今日櫻しづくにわが身いざ濡れむ香ごめに誘ふ風の來ぬ間に 河原左大臣
15 君がせぬわが手枕は草なれや涙の露の夜な夜なぞおく 光孝天皇
16 わくらばにとふ人あらば須磨の浦に藻鹽たれつつわぶと答へよ 中納言行平
17 狩りくらし七夕つ女に宿借らむ天の河原にわれは來にけり 在原業平朝臣
18 わが戀の數をかぞへば天の原曇りふたがりふる雨のごと 藤原敏行朝臣
19 沖つ藻を取らでややまむほのぼのと舟出しことも何によりてぞ 伊勢
20 天雲のはるばる見ゆる嶺よりも高くぞ君をおもひそめてし 元良 親王
21 もみぢ葉の流れてとまる湊にはくれなゐ深き波や立つらむ 素性法師
22 草深き霞の谷にかげかくし照る日のくれし今日にやはあらぬ 文屋康秀
23 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき 大江千里
24 草葉には玉と見えつつ侘人の袖のなみだの秋のしらつゆ 菅家
25 かぎりなき名におふ藤の花なればそこひも知らぬ色の深さ 三條右大臣
26 春の夜の夢のうちにも思ひきや君なき宿をゆきて見むとは 貞信公
27 來ぬ人を待つ秋風の寢覺にはわれさへあやな旅ごこちする 中納言兼輔
28 あづまぢのさやの中山なかなかにあひ見てのちぞわびしかりける 源宗于朝臣
29 春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる 凡河内躬恆
30 春はなほわれにて知りぬ花盛りこころのどけき人はあらじな 壬生忠岑
31 水底に沈める花の影見れば春は深くもなりにけるかな 坂上是則
32 昨日といひ今日と暮して飛鳥川は流れて早き月日なりけり 春道列樹
33 君ならでたれにか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る 紀友則
34 夏の月光をしまず照るときは流るる水にかげろふぞたつ 藤原興風
35 花鳥もみなゆきかひてぬばたまの夜の間に今日の夏は來にけり 紀貫之
36 滿つ潮のながれひる間を逢ひがたみみるめの浦に夜をこそ待て 清原深養父
37 波わけて見るよしもがなわたつみの底のみるめももみぢ散るやと 文屋朝康
38 おほかたの秋の空だに侘しきにものおもひそふる君にもあるかな 右近
39 かげろふに見しばかりにやはまちどり行方も知らぬ戀にまどはむ 參議等
40 天の河かはべの霧の中分けてほのかに見えし月の戀しさ 平兼盛
42 春は惜しほととぎすまた聞かまほし思ひわづらふしづこころかな 清原元輔
43 いつとなくしづ心なきわが戀のさみだれにしも亂れそむらむ 權中納言敦忠
44 人づてに知らせてしがなかくれ沼の水籠にのみ戀ひや渡らむ 中納言朝忠
45 風早き響きの灘の船よりも生きがたかりしほどは聞ききや 謙徳公
46 妹とわれねやの風戸に晝寢して日高き夏のかげを過ぐさむ 曾根好忠
47 百千鳥聲のかぎりは鳴きふりぬまだおとづれぬものは君のみ 惠慶法師
48 夏刈の玉江の蘆を踏みしだき群れゐる鳥のたつそらぞなき 源重之
49 花散らば起きつつも見むつねよりもさやけく照らせ春の夜の月 大中臣能宣朝臣
50 露くだる星合ひの空をながめつついかで今年の秋を暮さむ 藤原義孝
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51 桂川かざしの花の影見えし昨日のふちぞ今日は戀しき 藤原實方朝臣
52 近江にかありといふなる三稜草生ふる人くるしめの筑摩江の沼 藤原道信朝臣
53 春の野につくるおもひのあまたあればいづれを君が燃ゆるとか見む 右大將道綱母
54 ひとりぬる人や知るらむ秋の夜をながしと誰か君に告げつる 儀同三司母
55 秋深き汀の菊のうつろへば波の花さへ色まさりけり 大納言公任
56 秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ 和泉式部
57 おぼつかなそれかあらぬか明暗のそらおぼれする朝顔の花 紫式部
58 はるかなるもろこしまでも行くものは秋の寢覺の心なりけり 大貳三位
59 有明の月は袂に流れつつかなしき頃の蟲の聲かな 赤染衞門
60 春の來ぬところはなきを白川のわたりにのみや花は咲くらむ 小式部内侍
61 おきあかし見つつながむる萩の上の露吹き亂る秋の夜の風 伊勢大輔
62 花もみな繁き梢になりにけりなどかわが身のなる方もなき 清少納言
63 榊葉の木綿しでかげのそのかみにおしかへしてもわたる頃かな 左京大夫道雅
64 梢には殘りもあらじ神無月なべて降りつる夜半のくれなゐ 權中納言定頼
65 わが袖を秋の草葉にくらべばやいづれか露のおきはまさると 相模
66 木この間ま洩るかたわれ月のほのかにも誰かわが身を思ひいづべき 前大僧正行尊
67 朝な朝な折れば露にぞそぼちぬる戀の袖とや磐余野の萩 周防内侍
68 あしひきの山のあなたに住む人は待たでや秋の月を見るらむ 三條院
69 山里の春の夕暮來てみれば入相の鐘に花ぞ散りける 能因法師
70 五月闇はなたちばなに吹く風は誰が里までか匂ひゆくらむ 良暹法師
71 雲拂ふ比良の嵐に月冱えて冰かさぬる眞野の浦波 大納言經信
72 袖の上の露けかりつる今宵かなこれや秋立つはじめなるらむ 祐子内親王家紀伊
73 こほりゐし志賀の唐崎うちとけてさざなみよする春風ぞ吹く 中納言匡房
74 何となくものぞかなしき菅原や伏見の里の秋の夕暮 源俊賴朝臣
75 高圓の野路の篠原すゑさわぎそそやこがらし今日吹きぬなり 藤原基俊
76 思ひかねそなたの空をながむればただ山の端はにかかる白雲 法性寺入道前關白太政大臣
77 花は根に鳥は古巣にかへるなり春のとまりを知る人ぞなき 崇徳院
78 夕霧に梢も見えず初瀬山入相の鐘の音ばかりして 源兼昌
79 聲高しすこしたちのけきりぎりすさこそは草の枕なりとも 左京大夫顕輔
80 たなばたの逢瀬絶えせぬ天の川いかなる秋か渡りそめけむ 待賢門院堀河
81 なごの海の霞のまよりながむれば入日をあらふ沖つ白波 後徳大寺左大臣
82 くれなゐに涙の色のなりゆくをいくしほまでと君に問はばや 道因法師
83 またや見む交野の御野の櫻狩花の雪散る春のあけぼの 皇太后宮大夫俊成
84 夢のうちに五十の春は過ぎにけり今ゆくすゑは宵のいなづま 藤原清輔朝臣
85 わが戀は今をかぎりと夕まぐれ荻吹く風のおとづれてゆく 俊惠法師
86 年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけりさやの中山 西行法師
87 思ひ立つ鳥は古巣もたのむらむ馴れぬる花のあとの夕暮 寂蓮法師
88 くれなゐにかたしく袖はなりにけり涙や夜はの時雨なるらむ 皇嘉門院別當
89 かへりこぬ昔を今とおもひ寢の夢の枕に匂ふたちばな 式子内親王
90 花もまた別れむ春は思ひ出でよ咲き散るたびの心盡しを 殷富門院大輔
91 幾夜われ波にしをれて貴船川袖に玉散るもの思ふらむ 後京極攝政前太政大臣
92 夢にだに人を見よとやうたた寢の袖吹きかへす秋の夕風 二條院讃岐
93 來む年もたのめぬ上の空にだに秋風吹けば雁は來にけり 鎌倉右大臣
94 草枕むすびさだめむ方知らずならはぬ野邊の夢のかよひ路 參議雅經
95 戀ひそめし心はいつぞいそのかみ都のおくの夕暮の空 前大僧正慈圓
96 つくづくと思ひ明石の浦千鳥波の枕になくなくぞ聞く 入道前太政大臣
97 見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮 權中納言定家
98 明けばまた越ゆべき山の峰なれや空行く月の末の白雲 従二位家隆
99 み吉野の高嶺の櫻散りにけり嵐も白き春の曙 後鳥羽院
100 おきまよふ暁の露の袖の上を濡れながら吹く秋の山風 順徳院
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