2025年3月20日木曜日

みちのくの しのぶもじずり みだれぞめ いろはあせれど みだることなく  遊水



■ 2025-03-20
■ 伊勢物語、と、百人一首に共通する歌がある。
  1. 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに  河原左大臣
  2. ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれないに水くくるとは     在原業平朝臣
■ ちはやぶる、については書いた。
■ 陸奥の、を本歌取りした千載和歌集・巻第十一・恋歌一の次の歌と比較するといい。
  • みちのくの 信夫もぢずり 忍びつつ 色には出でじ 乱れもぞする  寂然法師
■ 元の歌の方がいい。
■ いい歌を本歌取りするのは難しい。
■ 後で何か思い浮かぶかもしれないので、とりあえず書いておく。
  • みちのくの しのぶもじずり みだれぞめ いろはあせれど みだることなく  遊水


2025年3月17日月曜日

貫之の古今集と、新古今集の定家の心境。2025-03-20

■ 2025-03-17
■ 古今和歌集・巻第一・春歌上
  1. 年の内に春はきにけり ひととせをこぞとやいはん ことしとやいはん  在原元方
  2. 袖ひちてむすびし水のこほれるを 春立つけふの風やとくらん  紀貫之
■ 古今和歌集・巻第十四、最後の歌。
  • 道しらば摘みにもゆかむ 住之江のきしに生ふてふ恋忘れ草  つらゆき
■ 藤原定家は新古今集の編集人の一人として参加したが、要するに下働きであった。
■ 後鳥羽上皇が采配し、さらに、京極摂政良経も口出ししたようだ。
■ 年下の男たちに、なんだ、こいつら偉そうに、と心の中で思わなかったとは言えない。

古今集 我が世の春の つらゆきは 自らの歌 初め終わりに 2025-03-20
新古今 下働きの さだいえは 院切り捨てて 秀歌となせり

■ こんなところか。
■ 藤原定家は、古今和歌集、紀貫之に勝る百首の最後を飾る歌を詠む自信があった。

憂かりける人、の話。普通、誰でも、はげしかれとは祈らない。

■ 2025-03-17
■ ・・・
  • 憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを    源俊頼
■ 後鳥羽院は俊頼の歌の姿を
  1. うるわしくやさしき様、の歌
  2. もみもみと、人は詠みおほせぬやうな姿、の歌があとしている。
    ■ 定家も、同調している。
    • これは心ふかくことば心まかせて、まねぶともいひつづけがたく、まことに及ぶまじきすがたなり
    ■ 千載和歌集 巻第十二、恋歌二

    祈れどもあはざる恋といえる心をよめる
    憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを  源俊頼朝臣

    ■  恋歌二、にある他の歌に比べると表現が変わっている。
    ■ しかし
    ■ だいたい、誰でも、「はげしかれとは祈らぬ」ものなので、そう祈るはずはない。
    ■ なぜ率直に、祈りましたが、と言えないのか。
    ■ 嫌みだ。
    ■ 嫌みを言われて優しくなれるはずはない。

    ------------------------------------------------------------------
    祈れども かぜのはげしき はつせ山 観音様の こころ届かず   遊水



    2025年3月16日日曜日

    百人一首と百人秀歌、憂かりける人 2025-03-21

    ■ 2025-03-17
    ■ 2025-03-16
    ■ 世に、百人一首とほとんど同じ内容の百人秀歌が存在する。
    ■ 大きく異なるものは、

    百人一首には後鳥羽院・親子の歌がある。
    源俊頼の歌が異なる。
    百人一首  憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを
    百人秀歌  山桜咲きそめしより久方の雲居に見ゆる滝の白糸

    ■ 一般に、百人秀歌のあとに百人一首が作られたとされている。
    ■ 仮に、百人秀歌の方が先に作られていたとしたら、なぜ、最初から「憂かりける」を取り上げなかったのか、という疑問がわく。

    百人一首
    高砂の尾上の桜先にけり戸山の霞立たずもあらなん       権中納言匡房
    憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを  源俊頼朝臣
    百人秀歌
    恨みわび 干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなんなこそ惜しけれ 相模
    山桜咲きそめしより久方の雲居に見ゆる滝の白糸        源俊頼朝臣

    ■ 定家は最初、後鳥羽院の「もみもみ」という評価に同調していたが、考え直したと考えられる。
    1. 百人秀歌から百人一首と考えたとき、「山桜」から「憂かりける」にする理由がない。
    2. 後鳥羽院・親子の歌を外した時、「憂かりける」も外し「山桜」の歌にした。
    ■ 要するに、百人一首が先で百人秀歌が後に作られた。
    ■ こう考えたとき、他の、理由が存在することに気付く。

    伊勢物語、と、百人一首、と、落語 2025-03-21

    ■ 2025-03-18
    ■ 同じ落語について、ここにも書いていた。▶ うかはげ、って何ですか
    ■ 2025-03-17 訂正
    ■ 2025-03-16
    ■ 伊勢物語・定家本なるものがあるようだ。
    ■ 伊勢物語、と、百人一首に共通する歌がある。
    1. 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに  河原左大臣
    2. ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれないに水くくるとは     在原業平朝臣
    ■ 定家は、伊勢物語の業平の歌をそのまま取り入れた。
    ■ 現地を見ないで解釈する人もいる。
    ■ また「からくれない」って何ですか、とまじめな顔で訊かれたこともあった。

    絞り染め 括った所は 白くなる それでいいのか おい竜田川
    表面が 赤でも白でも だいじょうぶ 下を流れる おれ竜田川 

    ■ ・・・
    • ちはやぶるかみよもきかずたつたがわからくれないにみずくくるとは
    ■ 文字でなく、ことばとして歌を聞くと、すぐに理解できないこともある。
    ■ 明治時代、夏目漱石は、ごく普通に、その意味を理解して、千早古と、自らの俳句にも用いているが、いつからか混乱して落語にもなった。
    ■ 百人一首の絵札に「ちはや振る」と書かれているのもあり、これが今でも混乱のもとのひとつになっている。

    たつたがわ、を漢字で書くと川という文字があるだろう。
    だからと言って、river のことではない。
    関取が昔いたんだ。
    gawa
    kawa
    分かるかな
    この辺が日本語的なのだ
    その関取がな
    ちはや、という花魁を見初めたんだが、関取なんて嫌だと拒否された
    ならば、妹の、かみよ、でもいい、と交渉したんだがな
    おねさまがいやなものは、わちきもいやでありんす、と
    ちはや、にふられ
    かみよ、もいうことをきかない
    かみよも、きかず、だ
    へええっ、なるほど
    それで、すっかり、世の中が嫌になってな、女断ちをして精進しても、こんなことなら相撲取りなんかもうやめだと故郷に帰ったんだ
    父親の豆腐屋を引き継ぎ、暮らしていたところ
    店先に女乞食が来て、なにも食べてないので、せめて、おからでもください、という。
    どこかで見た顔だが、じっとみると、ちはや、だ
    お、お前は千早だな
    俺を振った、千早じゃないか
    お前なんかに
    おからだって、くれてやるものか
    ・・・
    からくれないに
    というわけだ、分かるかな
    え、なに、そういうことですかい
    と、話はつづき、拒否された、ちはや、は、とうとう店先の井戸に身を投げてしまう
    どぼーん、とな
    へええ、そういうことだったんですか、
    そういうことだ、わかるかな
    井戸の水に身を投げた、つまり
    みずくぐるとは、だな
    漢字で書くと、水潜る、だ。
    kukuru
    kuguru
    と、ここまで話が進み、いい加減だなあ、と思うのは早計、
    「括り染め」ではないぞ、と、落語家が考えた、というところまで読み取らないといけないのだぞ、わかるかな
    だいたい、わかったんですがね、最後の、とは、とはなんですかい
    なに、それぐらいまけとけ
    いやいや、そうはいきません、みそひともじの、ふたもじですから、まけられません
    なに、なら、おしえてやろう
    とは、とはだなあ、・・・
    なんですか、とは、とは
    それぐらい知らなくてどうする
    とは、とは、千早の本名だ。

    ■ 美しい着物を着た娘達が、早くも千年の昔になった古い和歌の札なんぞで遊んでいる。
    ■ 僧正遍照が今いたら、そのさまに見とれちゃて、・・・
    • 千早古 昔を今に 歌留多とり 乙女の姿しばしとどめん

    俳句

    俳句が中国SNSで大流行!中国人アレンジの改造版俳句が想像以上に面白いw
    世界の「俳句・ハイク」事情 - 国際俳句交流協会

    百人一首における、古今和歌集の仮名序にある歌人の配置

    ■ 古今和歌集には、仮名序、がある。
    ■ ここに次の人が取り上げられている。

    1. 柿本人麿
    2. 山辺赤人
    3. 僧正遍照
    4. 在原業平
    5. 僧喜撰
    6. 小野小町
    7. 大友黒主
    ------------------------------------------------------------------
    百人一首
    奇数・偶数で歌合わせとなる。

    天智天皇
    持統天皇

    柿本人麻呂
    山辺赤人

    猿丸大夫
    中納言家持

    阿倍仲麻呂 
    喜撰法師  我が庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり

    小野小町  花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身 世にふる ながめせし間に 
    蝉丸    これやこの 行くもかへるも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関   

    参議篁 
    僧正遍照

    陽成院     筑波峰の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりける
    河原左大臣   陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに

    光孝天皇 
    中納言行平

    在原業平朝臣  ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 唐紅に 水くくるとは
    藤原敏行朝臣  住の江の 岸に寄る波 夜さへや 夢の通い路 人目よくらむ 

    ------------------------------------------------------------------
    百人秀歌

    天智天皇御製
    持統天皇御製

    柿本人麿
    山辺赤人

    中納言家持
    阿倍仲丸

    参議篁
    猿丸大夫

    中納言行平  たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰りこん
    在原業平朝臣 ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 唐紅に 水くくるとは  

    藤原敏行朝臣
    陽成院御製

    小野小町  花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身 世にふる ながめせし間に
    喜撰法師  我が庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり

    僧正遍照
    蝉丸

    河原左大臣   陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れむと思ふ 我ならなくに
    光孝天皇御製  君がため 春の野にいでて 若菜つむ 我が衣手に 雪は振りつつ  

    ------------------------------------------------------------------
    ■ 歌合わせ

    猿丸大夫
    中納言家持
    ----------
    中納言家持
    阿倍仲丸

     ■ どちらの組み合わせがよいか。↑、↓

    僧正遍照
    陽成院

    河原左大臣
    光孝天皇 
    ----------
    藤原敏行朝臣
    陽成院御製
     ・・・
    河原左大臣
    光孝天皇御製

    ■ 藤原定家は、古今集を手本に百人一首・百人秀歌を作った。