2024年11月19日火曜日

身にしむ色の秋風、をもう一度、と、蛍の歌



■ 2024-11-19
■ 塚本邦雄は新小倉百人一首の和泉式部の歌として
  • 56 秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ    和泉式部
■ この歌を上げている。
■ 「身にしむ」については以前書いた。
■ この際、これらをまとめ比較してみよう。

秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ  和泉式部
しろたへの袖の別れに露落ちて身にしむ色の秋風ぞ吹く  藤原定家
若き日は見えざりしこの風のいろ身にしむ色の風の秋なる  小島かおり
母逝きて はや幾年か 忘れども 身にしむ色の 秋風ぞ吹く  橋本遊水

■ 色は「ような」という意味。

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「いろ」は色彩の色でなく、辞書には/顔色、ようす/種類、しな/情趣、味わい/やさしさ、情け/……とあり、「風情」といつたところか。今風に言えば「カンジ」である。従って、・・・


■ さて、塚本邦雄は藤原定家の小倉百人一首を凡作だと貶すがどうだろう。
■ まあいいか、そのうち私も何か選んでみよう。
■ その一つとして

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黒髪のみだれもしらずうち臥ふせば まづかきやりし人ぞ恋しき  和泉式部


■ こんな歌を選んでいた。
■ この歌の方が塚本邦雄選よりいいと思うが、定家・小倉百人の歌は、当時の人間関係なども考えられていることを思えばそのままでもいいのかもしれない。
■ 書き並べてみよう。

あらざらむこの世の外の思ひ出に今一度の逢ふこともがな    和泉式部 藤原定家選
秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ  和泉式部 塚本邦雄選
黒髪のみだれもしらずうち臥ふせばまづかきやりし人ぞ恋しき  和泉式部 橋本遊水選

■ ・・・・

○   ○   ○

■ ついでに・・・
■ この動画で「その中から2句紹介します」と言っているが「2首」といってほしいものだ。
■ 重箱の隅ではあるけれど、・・・
■ しかし、まあ、こういう解説があるのも悪くない。
  • もの思へば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞ見る   和泉式部
■ この歌も上げている。
■ そして、紫式部の評についてもふれていた。
■ 紫式部・源氏物語・玉鬘の蛍の歌は、・・・
  • 声はせで身をのみ焦がす蛍こそいふよりまさる思ひなるらめ
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■ 蛇足ながら、比較してみると面白い。

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